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12/25/2015

消費者契約法改正の論点一覧

現在消費者委員会の調査会で行われている消費者契約法の改正審議で、本日(12月25日)答申がなされる予定ですが、今までの公開資料をもとに現時点で予想される論点をまとめてみました。(2016年1月7日最終答申を追記)

これをまとめようと思ったきっかけは、12月15日に開催された経営法友会の月例会でQ&A集が紹介されたのですが、論点が中間とりまとめをベースとしており、現時点で残っている論点を客観的に知っておく必要があると思ったことです。

まず、11月13日での第21回専門調査会に消費者委員会事務局が提出した資料で論点が絞られ、11月27日第22回12月11日第23回で消費者庁が作成した資料で更に論点が絞られています。

これらによれば、次の通常国会に提出されると言われる消費者契約法改正法案では、5つの論点が取り上げられるようです。

1.「重要事項」(法第4条第4項)
「法第4条第1項第1号(不実告知)のみを適用対象として、「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」を法第4条第4項所定の事由に追加して列挙してはどうか。」

2.合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型
「事業者が、客観的に過量契約(事業者から受ける物品、権利、役務等の給付がその日常生活において通常必要とされる分量、回数又は期間を著しく超えることとなる契約)に該当するにもかかわらず消費者がそのことを認識していないということを知りながら、当該消費者に対して当該過量契約の締結について勧誘し、それによって当該過量契約を締結させたような場合に、取消し又は解除によって契約の効力を否定することを認める規定を設けることとしてはどうか。」

3.取消権の行使期間(法第7条第1項)
「法第7条第1項に定める取消権の行使期間のうち、短期の行使期間を「追認をすることができる時から1年間」に伸長してはどうか。」

4.不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果
「消費者契約法に、次のような趣旨の規定を設けることとしてはどうか。
新民法第121 条の2第1項の規定にかかわらず、消費者契約に基づく債務の履行として給付を受けた消費者は、消費者契約法の規定により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、当該消費者契約によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負うものとする。」

5.消費者の利益を一方的に害する条項(法第10条)
「法第10 条前段に該当する消費者契約の条項の例示として、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項を挙げることとしてはどうか。」

また、次の4つの論点については、法改正は見送るものの、逐条解説に一定の考え方を示すことが提案されています。

1.第三者による不当勧誘(法第5条第1項)
「現行法第5条第1項にいう「媒介」の意義については、当面は、文言の解釈及び個別具体的な事案における適用に委ねることとしつつ、必ずしも契約締結の直前までの必要な段取り等を第三者が行っていなくてもこれに該当する可能性がある旨を逐条解説等において記載することとしてはどうか。」

2.「平均的な損害の額」の立証責任
「法第3条第1項の趣旨に照らし、事業者と消費者との間で「平均的な損害の額」が問題となった場合には、事業者は消費者に対して必要な情報を提供するよう努めなければならないことを逐条解説等において記載することとしてはどうか。」

3.法第10 条後段要件の在り方
「法第10 条後段については、中間取りまとめに記載のとおり、現行法の要件を見直すことはせず、後段要件に規定する信義則に反するかどうかについて、法の趣旨・目的に照らして判断されるべきことについて、逐条解説等において明確にすることが適切と考えられる。」

4.条項使用者不利の原則
「条項使用者不利の原則については、要件や適用範囲等を更に検討しつつ、あわせて、逐条解説の法第3条の解説等において、条項の明確性に係る事業者の努力義務(法第3条第1項)に違反した場合において生じ得る効果に関する考え方の一つであることや、同原則を用いたとの評価もされている裁判例があることを紹介することとしてはどうか。」

このように、当初の議論からかなり絞った論点が実際の法改正に反映されることになりそうです。なのであまり心配することはない、と思うか、これは1歩に過ぎず、程なくまた改正論議が続くとか、逐条解説で実質的拡大解釈がされると危惧するかは、人によってまちまちのようです。

【補足:20160107】
昨年12月25日の専門調査会の最終報告書が消費者委員会のウェブに上がっていました。
http://wwwcaogojp/consumer/iinkaikouhyou/2015/doc/20151225_shoukei_houkoku1pdf

速やかに法改正を行うべき内容を含む論点として、次の5点(6点)となったようです。

1.「重要事項」(法第4条第4項)
不実告知による取消し(法第4条第1項第1号)に限り、「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」を法第4条第4項所定の事由に追加して列挙することとする。

2.合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる類型
事業者が、消費者に対して、過量契約(事業者から受ける物品、権利、役務等の給付がその日常生活において通常必要とされる分量、回数又は期間を著しく超える契約)に当たること及び当該消費者に当該過量契約の締結を必要とする特別の事情がないことを知りながら、当該過量契約の締結について勧誘し、それによって当該過量契約を締結させたような場合に、意思表示の取消しを認める規定を新たに設けることとする。

3.取消権の行使期間(法第7条第1項)
取消権の行使期間のうち、短期の行使期間を1年間に伸長することとする。

4.不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果
新民法第 121 条の2第1項の規定にかかわらず、消費者契約に基づく債務の履行として給付を受けた消費者が、消費者契約法の規定により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合であって、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、当該消費者の返還義務の範囲を現存利益に限定する旨の規定を設けることとする。
※この規定については、新民法の施行と同時に施行されることとするのが適当である。

5.事業者の損害賠償責任を免除する条項(法第8条第1項)
法第8条第1項第3号及び第4号の「民法の規定による」という文言は削除することとする。

6.不当条項の類型の追加/消費者の利益を一方的に害する条項(法第10 条)
① 債務不履行の規定に基づく解除権又は瑕疵担保責任の規定に基づく解除権をあらかじめ放棄させる条項を例外なく無効とする規定を設けることとする。
※新民法の下では、債務の履行としての給付に瑕疵がある(新民法によると、契約の内容に適合しない)場合の解除は、債務不履行に基づく解除の規定(新民法第541 条及び第542 条)によって行われることになる(新民法第564 条)。そのため、新民法が施行されれば、①の規定もそれを踏まえたものとする必要がある。

② 法第10 条前段を改正し、これに該当する消費者契約の条項の例示として、消費者の不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項を挙げることとする。

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