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December 2017

12/30/2017

どうした 巨神兵!

かつて大いに頼みとし、引く手あまただった弁護士の先生が、気づいてみると輝きを失って、だんだん依頼が減ってしまうということを、ある程度企業法務の中の人をやっていると経験することがあります。
若手・中堅・大御所問わずこのような経験が何かに似ているとずっと引っかかっていたのですが、「かつてはわずか7日間で世界を滅ぼした強大な力を持っていた存在が、どろどろと身体を崩しながら無力化してしまう」という(アニメ版)風の谷のナウシカにおける巨神兵登場シーンではないかと思い至りました。
歳を経て、いろいろな記憶が混じり合い、もはやどれが誰の話だったか思い出せなくなってしまった今しか書けない、寓話ということでお付き合いください。

焼き払え!
どうした それでも世界で最も邪悪な一族の末えいか!

わあっ!
すげえ
世界が燃えちまうわけだぜ

なぎ払え!
どうした化け物 さっさと撃たんか!

うっ!
だめだー 逃げろー!

巨神兵 死んじゃった
――風の谷のナウシカ(1984)――

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12/17/2017

法務組織の(中間)管理職は何をしているのか #LegalAC

この投稿は、法務系Advent Calendar2017 の参加エントリーとなります。@NH7023さんからバトンを引き継ぎました。

本当は「どうした!巨神兵 ―大弁護士の落日―」という記事を書くはずだったんですが、@NH7023さんのエントリーを読んで、気が変わりました。

ネット界隈で企業内法務について語られるとき、法務部門全体か(外部である弁護士の視点が多いような気がしています)、法務担当者(中の人の視点が多いような気がしています)を対象としているものがほとんどだと思います。法務部門が企業内の組織(※1)である以上、そこには担当者だけでなく、管理職も存在します。しかし、管理職が何をやっているのかは、外部からだけでなく、内部からもよく分からないのではないでしょうか。この点、北島さんが以前BLJに連載していた「戦う法務課長」を読んで、おお、さすが課長ともなればすごいな、とまだ担当者であった私は思ったのでしたが、いざ自分が法務管理職となり、他の組織の法務管理職の方とも交流するようになると、ちょっと違うのかな、という印象を持つに至りました。北島さんのお書きになられた世界は、商社という超大型法務組織が存在する中の、シニア担当者(少しはマネジメント要素もありますが、マネジャーというよりはメンターの側面が多い)としての法務課長なのではないか、管理職としての仕事はむしろ上席の法務部長が行なっているのではないか、と。

そこで、法務管理職の仕事とはどんなものか、自分の知見をもとに書いてみることにします。もちろん法務組織の大きさや業種、組織の役割によって、法務管理職の仕事も千差万別であり、乏しい自分の知見をもとにする以上、これから書くことは必ずしも一般的なことかどうか自信はないのですが、何かの参考になれればと思います。

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12/10/2017

定型約款について国会での法務省答弁について(6・終)

6.定型約款の変更
改正法の民法の規律は、一言で言ってしまえば、「当事者の合意がなくても契約として成立し拘束力を認める。当事者の合意がなくても契約の変更としての効力を認める。」といったものであるが、このうち定型約款の変更については、他国での立法例はないようだ。この規定は、約款の規律を民法に規定するためのいわば「アメ」として産業界の一部の要望に応えるかたちで導入されたが、諸外国の事例もなく、学者からの評判もよろしくないため、今後の解釈論では、かなり論点が出てくるように思われる。

 (定型約款の変更) 第五百四十八条の四 定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。

 一 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。

 二 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。

2 定型約款準備者は、前項の規定による定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない。

3 第一項第二号の規定による定型約款の変更は、前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ、その効力を生じない。

4 第五百四十八条の二第二項の規定は、第一項の規定による定型約款の変更については、適用しない。

以下、答弁を紹介する。

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12/09/2017

定型約款に関する国会での法務省答弁について(5)

5.定型約款の内容の表示
定型約款の内容は通常認識はしなくてもいいが、取引相手方の保護のため、内容について開示することが必要になる。この点について、内容を事前開示すべきだ、とする(特に消費者寄りの)学者の意見や他国の立法例があるものの、改正法は内容開示の問題と組入れとの問題とを独立させ、内容表示義務を別途548条の3で規定した。

(定型約款の内容の表示) 第五百四十八条の三 定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない。

2 定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

以下、内容の表示についての答弁であるが、それほど多くはない。

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12/08/2017

定型約款に関する国会での法務省答弁について(4)

4.不当条項規制
組入れの例外として、定型約款の内容が合意とみなされない場合がある。改正法548条の2第2項は次のように規定する。

2 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす。

以下、同項を巡る答弁を見ていく。

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12/07/2017

定型約款に関する国会での法務省答弁について(3)

3.組み入れ
約款は、定型約款に限らず契約の一類型である、というのが、改正審議に加わった者たちの共通認識であった。前回紹介した1についての答弁はまさに約款が契約であることを前提に、契約としての拘束力を認めるための特例として改正法の規律を定めたという趣旨である。
あらためて改正法548条の2第1項を引用する。

 

(定型約款の合意)
第五百四十八条の二 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。

 一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。

 二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。

以下、定型約款が契約としての法的拘束力を得ることを「組み入れ」と言い、組入れについての答弁を見ていくことにする。

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12/06/2017

改正民法の施行まであと2年半を切った今、法務パーソンは何をなすべきか

のっけから大上段のタイトルで恐縮です。

報道によれば、施行日は20年4月1日で内定したとのことです。施行まで実質2年半もないわけです。定型約款についての記事が続いていますが、予定を変更し、急遽こちらのテーマを書いてみます。

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定型約款に関する国会での法務省答弁について(2)

2.定型約款とは何か
新548条の2第1項本文は次のように規定している。

 

(定型約款の合意)
第五百四十八条の二 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。

そこで、「ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの」とはどういうことなのかが問題となる。まずはこの点についてどのような答弁をしているのか見てみよう。

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12/05/2017

定型約款に関する国会での法務省答弁について(1)

民法(債権法)改正について、どの点が気になるか法務関係者に聞くと、新しく民法に加わった定型約款の規律を挙げる人が非常に多い。ただし、定型約款の条項は、改正審議の最初から改正の目玉とされていたがゆえに、関係者間の意見集約には大変な手間がかかり、審議過程の最終段階になって、重要な概念や規定ぶりが大きく変わっていった、という点が、他の論点と多く異なる。そのため、最終的に民法の規定となった文言について、どういう規律なのか、どのような論点があるのか、という点について、きちんと書かれた文献はほとんど存在しないという印象を受ける。(現時点における良質な文献としては、学者の立場から、審議過程を丁寧に追ったものとして、森田修、「約款規制:制度の基本構造を中心に」、法教432号92頁、433号88頁、434号85頁、435号88頁が、金融実務を念頭に置いて叙述として、浅田隆、「定型約款 銀行取引を念頭に」金融法務事情2050号28頁、2055号43頁がある。)
立案担当者による事実上の公定解説であるいわゆる「一問一答」の出版を待てば最終案についてのまとまった説明が出てくる(一応現時点においてそれらしきものとして、松尾博憲、『Q&A民法改正の要点』があるが、描写がややざっくりしている。)のであるが、なかなか出ないので、とりあえずの縁として、国会審議における法務省関係者の答弁内容を整理してみた。

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