大海を知らざる井の中の蛙、如何に空の青さを知るや #裏legalAC
あっという間に12月になってしまい、法務系Advent Calendar2022が始まりました。今年もこの機会を提供していただいた @kanegoonta さん、ありがとうございます。
こちらは裏の第1回目ということで、不肖私めがゆるーく始めていきたいと思います。
自分は企業内で法務とは関係ない部署をいくつか配属された後、偶然が重なって法務に異動となりました。大学こそ法学部でしたが、企業法務をやりたいから就職したわけではなく、積極的に希望もしていたわけでもありませんでした。それでも以来幾星霜、社会人生活の3分の2以上を法務で過ごして今に至っております。
最初のうち、というか数年間は、正直よくわからないまま仕事をやっていたと思います。上司も法務のプロという訳ではなかったし、企業内法務について体系的な入門書というものもなかなかなく、試行錯誤でした。今思い出すと、法務としてレビューするという考えがあまりなく、自分が事業担当者だったとして相手と取引するつもりでのコメントが多かったと思います。
自分のやり方がそれでいいのかどうかよくわからないという、そういう感じで社内でドタバタやってきたのですが、そのころは他社の企業法務の方との交流というのは、ほとんどありませんでした。毎日深夜まで残業していたし(当時は家からメールを閲覧したり送ることはできなかったので、オフィスでしか仕事ができない、ということもあったと思います。)、仕事が終わるとそのまま上司と飲みに行くか、残業していると一緒に仕事をしている事業部の人からオフィスに電話がかかってきて、「近くの居酒屋で○○先生(法律顧問)と飲んでいるので来て」と言われてそのまま合流するとかで、ほぼほぼ毎日が終わっていました。
上司がマネージャー職に昇格してから、社内飲みをパッタリやめて、食事は社外の人としかほぼいかなくなり、自分も結婚、子育てで毎日深夜まで残業というライフスタイルが取れなくなっていきました。自分がツイッターを始めたのが子育てが少し落ち着いたころで、企業内法務の人たちとの絡みが少しできたところで、休刊したビジネスロージャーナル(BLJ)の読者懇談会に顔を出したところ、ツイッターで絡んでいた人たちがいっぱいいて、リアルでのお付き合いも始まりました。
そのころのBLJ編集部はまさに神出鬼没でして、ツイッターで少し尖ったことを書いている人がいたら接近してきて、匿名でもいいから何か記事や座談会参加を依頼してきたり、各所で行われる企業法務関係の集まり(飲み会含む)に行くと、必ず編集部の人がそこにいるという感じでした。昨年のアドベントカレンダーで吉峯先生が書かれていますが、法務系ライトニングトークの初期は三軒茶屋にあったBLJの編集部でデリバリーピザを持ち込んで行われています。ツイッターでのオンラインの発言と、リアルでの集まりがゆるくつながって、それを契機にリアルで知り合った人たちでの研究会ができたり、弁護士さんで事務所を移籍するきっかけになったり、本を共同執筆するということがあったりしました。今は過激な投稿で炎上している弁護士さんも、役所の中で法令改正を担当している弁護士さんも、立場の違いを超えて楽しそうに集まっていたことを思い出します。
何となく世知辛くなってきたな、と感じてきたのが最後のライトニングトークを阿佐ヶ谷LOFTでやったころで、イベントもプレゼンももはや手づくりの即興というよりは、周到に準備した限られたプロのプレゼンという色彩もあったし、何よりも、何人かの弁護士さんがあからさまに宣伝と思われるプレゼンをしてきたことです。業務外の余技でやるLTがいつの間にか、プロの収益のための道具になっていた、という印象は、その後の法務の人たちの集まりに暗い影を投げかけたのではないかと思われました。事実、その後行われているイベントは、なにがしか主催者のビジネスのツールという側面が出てきているように思われます。
今は、SNSで不用意な発言をすると、「魚拓取りました」「特定しました」と恐ろし気な投稿をする方もいて、以前のようにゆるい発言をする雰囲気が喪われているような気がします。以前からのつながりがある人との付き合いは続いていますが、クローズなコミュニティ中心になっていて、全世界に内輪のゆるい話が聞こえる、ということがとても危険なことのようになってきました。
また、リアルの場のつながりというのも、コロナ禍以降相当限定されてしまい、新しい人たちとのネットワーキングをリアルの場で行う機会はほとんどなくなってしまいました。
しかし、井の中の蛙であった自分が、頭の上に光っているものが空というものであって、それが青くて、拡がっているということが分かったのは、間違いなく他の企業内法務関係者や企業法務を扱っている弁護士さんとの交流であったので、特に若い(≠若手)人たちが気軽に交流できる場が再び現れることを願っています。また、そのような場を作る努力をすることを、微力ながら続けていきたいと思っております。
ということで明日は @dtk1970 さんです。
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