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12/24/2019

こんな「せめの法務」は嫌だ!

この記事は法務系Advent Calendar 2019の一つとして、kaz_miyashita 先生から「簡(漢?)にして要を得たご発信で有名」と過分のご紹介をいただき恐縮至極です。

世間では攻めの法務だパートナーだナビゲーターだと「せめ」の法務がもてはやされていますが、うーんという事例もあるようでして

 

相談者を「責める」

相談に来る人たちは、なにがしかの不安にかられ、法務を頼ってきているはずなんです。それを「何でそんなことをしちゃうの」とか「お前がやっていることは法律違反だ、法律違反といえば殺人だ。つまりお前は殺人者、人殺しだ。きゃー人殺しー!」とか攻め、もとい、責めたって、恨みをかうだけですし、二度と法務に相談に来るもんか、ってなりますよね。

 

相談者に阿って批判者を「攻める」

そんな上から目線は最近は流行らないってんで、パートナーっていうんですってね、相談者と一緒に考えるのがいいって言われているんだそうで。

でもね、相談者と同じ思考でそれを法的に根拠づけするだけでは、企業内法務としても、外部弁護士としても、法務としての価値はないと思いますね。中国ではそういう人のことを「法匪」と呼ぶそうです。スタートアップ支援を中心に行う外部弁護士さんが、相談者からうちの頭の固い法務を説得する論理を考えてくれ、と頼まれて、悲しい、という話を聞いたことがありますが、企業内での足の引っ張り合いの助太刀をしてても、ねぇ、という感じがします。

 

「攻め」過ぎて、相談者のはるか先に行ってしまう

相談者に寄り添いつつ、「正しい」方向に導くナビゲーターとしての法務がいいんだ、という話も聞きますね。ただ、あくまでも相談者が理解して実行できる範囲でのナビゲーションであることが重要だと思います。

相談者の分不相応なことまでやりましょう、と引っ張っていっても、うまくいかないですし、逆に相談者は引いてしまうんです。会社の場合は、経営者や事業部門の想像できる範囲を法務が越えるということは、結局リスクを高めてしまいます。法務としては粘り強く経営者や事業部門を説得して、彼らが理解し、やる気になるまで待つ方が結局うまくいくと思います。

 

法務相談に行ったはずが営業を受けてしまう

相談者のはるか先にといえば、最近弁護士さんが会社を作って、依頼者に営業する、という事例が出てきています。法務相談に行ったらセンセイから、「今度会社作ったんです、一緒にやりましょうよ」と営業トークを受けるということも出てきています。

でもねぇセンセイ、会社といえば業者ですよ、業者は発注者に都合いいことしてくれればいいんです。正しいこと言ってももう業者のいうことは聞きませんよ。あと、他の業者から警戒されてしまい、弁護士だけでは受けなかった妨害もされるし、同業の弁護士からも非弁連携になると批判されて、本当に大変だと思いますけどねぇ。業者としての覚悟と、正しいことを導く法の人との両立ができるかどうか、これから正念場でしょうね。

 

それでは、大トリのSatosiYAMAGATA さんに引き継ぎいたします。

メリークリスマス

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